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[ 前立腺がんについて ]

前立腺がんについての説明やその診断方法、治療方法を紹介し、尾道市民病院で集計された統計をグラフでご案内します。
最終更新日:令和5年11月06日

前立腺がん

前立腺がんについて

前立腺とは:前立腺(ぜんりつせん)は膀胱の出口にあるクルミくらいの大きさの臓器で、その中を尿道が通っています。男性だけにあり、精子の運動に関係する物質をつくっていると考えられています。また、排尿の調節にも関係しており、尿を膀胱にためる(がまんする)のに役立っています。しかし加齢とともに大きくなって(前立腺肥大症)排尿の邪魔をすることもあります。

前立腺がんの疫学:前立腺がんは高齢者に多いがんです。ほとんどが50歳以上の方にでき、年齢が高くなるほど多くなります。また、進行がゆっくりしていることが多く、なかには発生しても生涯問題を起こさないものもあります。しかし、急に進行する悪性度の高いものもあります。従来は欧米人に多く日本人には少ないものでしたが、最近では日本でも前立腺がんによる死亡が急増しています。これには欧米型の食習慣・生活習慣が発生に関係していると言われていますが、はっきりした要因はわかっていません。ただ、父親または兄弟に前立腺がんのいる方には前立腺がんが出来やすいことが分かっており、このような方では早く発生して進行も速いことが多いと言われています。

前立腺がんの診断

前立腺がんの症状:他のがんと同様、初期には症状はありません。しかし進行して大きくなると尿の通りを悪くして尿が出にくい・回数が多いなどの症状の原因となることがあります。また、前立腺の外に広がると色々な症状を引き起こしますが、中でも骨に転移を起こしやすく、腰痛や股関節の痛みを起こすことがあります。さらに進行すると死亡の原因となることがあります。

前立腺がんの診断:前立腺がんの早期発見には血液の中のPSA(前立腺特異抗原)というものを測定することが役に立ちます。これは1回の採血で済む簡単な検査です。この値が上がって前立腺がんが疑われたら、MRIなどを行ったのち、診断を確定するために組織検査(生検)をする必要があります。生検は前立腺に針を刺して組織を少し取り、これを顕微鏡で調べる検査です。この結果がんが見つかったら、CTや骨シンチグラムで病気の広がりを調べ、それらの結果を参考にして最適な治療を考えます。

前立腺がんの治療

前立腺がんの治療:治療方法は病状・年齢・体力・他の病気の有無などによって異なりますが、初期のものには手術・放射線治療・ホルモン治療などの選択肢があります。進行したものにはホルモン治療・放射線治療を適宜組み合わせて行います。もともと進行がゆっくりしていることが多いので、がんを完全に治す方法だけでなく、がんと付き合って行くようなおだやかな治療でもうまくコントロールできることもあります。各治療法にはそれぞれ一長一短がありますので、何を重視するか(例えば完全に治すこと、楽に治療することなど)によって治療法が変わります。担当の医師とよく相談して、納得の行く治療を受けていただくことが大切です。

知っておいていただきたいこと:初期のがん(前立腺の中だけにあるもの)は手術により完全に治すことが可能ですが、進行したもの(前立腺の殻を破って広がっている、または転移を起こしているもの)は完全に治すことができません。また、初期のがんのうち何割かは将来進行しないと言われていますが、それ以外のものは進行して行きます。ところが、将来進行するものとそうでないものを見分けることは完全にはできないのが現状です。ですから、PSA検査に始まる前立腺がんの早期発見・早期治療には、結果として受けなくてもよい検査や治療を受けることになってしまう可能性が伴います。当ホームページの健康トピックス「PSA(前立腺特異抗原)による前立腺がん検診について」をご参照ください

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