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[ 呼吸器内科 ]

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病気のはなし

尾道市立市民病院における、呼吸器内科の病気のはなしをご紹介いたします。
(2019年8月現在)
1.呼吸器科ってどんなところ?

 主として気管・気管支や肺、胸膜・胸壁の病気を診断、治療するところです。

2.どんな病気があるの?

肺癌などの腫瘍性疾患:死亡順位の上位を占める肺癌や胸膜の悪性中皮腫などを対象に、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科(放射線診断・放射線治療)、病理専門医、緩和ケア担当医、看護師、薬剤師などとのチーム医療により、診断、手術、放射線療法、全身化学療法(抗癌剤、分子標的治療薬)、緩和ケア治療などの集学的治療を実践しています。

肺癌検診:健診などで胸部XPの異常を指摘された方はマルチスライスCT等により速やかに精査し、必要な場合は気管支鏡などの検査を行っております。

肺炎などの感染症:肺炎は嚥下性肺炎を含めて当院で入院患者数が最も多い疾患です。速やかなマルチスライスCTによる画像診断と微生物に関する色々な検査を行い、原因となる病原体の推定、同定により肺炎ガイドラインに沿った標準治療を、外来・短期入院により実践しています。必要な場合は気管支鏡などにより精査を行います。難治性呼吸器感染症である膿胸や抗菌剤治療に抵抗性の慢性感染症については、呼吸器外科での手術を行います。

間質性肺炎などのびまん性肺疾患、稀少肺疾患:必要に応じて気管支鏡や胸腔鏡下肺生検などを実施し、正確な診断と適切な治療方針を決定するとともに、新規薬剤を含めた最新の治療を行っております。また難病に指定されている331疾患の内、胸部に異常が認められる疾患であるサルコイドーシス、特発性間質性肺炎、リンパ脈管筋腫症、閉塞性細気管支炎、肺胞蛋白症などの呼吸器疾患の診断や治療方針の決定、最新治療を実施しています。

塵肺などの職業性肺疾患:造船所や船員、建設、家屋解体など石綿に曝露された人に見られる石綿関連疾患(中皮腫、肺癌、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚)の診断、治療や石綿に関連する健康管理手帳(労働安全衛生法)による定期検診などを行っております。またこの地域に特徴的な塵肺である草染土塵肺があり、草加工や畳表製造に従事した職業歴の有る人に見られます。これらの疾患の診断、治療を行っています。

気管支喘息:ピークフローを指標とした喘息日誌による自己管理とステロイド吸入やステロイド・長時間作用型気管支拡張薬配合剤の定期吸入を中心とした治療を行っています。また簡単で負担にならない診断法である、呼気中一酸化窒素濃度測定を行っています。気管支喘息の病態、治療状態の把握や咳喘息、アトピー咳嗽などの診断、気管支喘息合併肺気腫の診断が可能となっています。また呼吸機能も詳しく評価し、吸入指導等も実施しております。

COPD(慢性閉塞性肺疾患):肺気腫を中心に、COPDの呼吸機能や画像診断による総合的な診断・評価を実施し、そして吸入薬を中心とした治療を実施しております。また呼吸リハビリテーションも積極的に行っております。

慢性呼吸不全:COPD、間質性肺炎、肺結核後遺症などにより慢性呼吸不全となられた方にはADL、QOLの改善を目指して呼吸リハビリテーションに加え、在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法も積極的に導入しています。

禁煙外来:喫煙はがんや動脈硬化、呼吸器疾患等、多くの疾患の発症、悪化に関わっています。やめたくてもやめられない喫煙習慣。禁煙を始めるために、『強い意志』は必要ありません。少しでも興味があれば大丈夫。健康保険の範囲で、確実な禁煙を私たちがサポートします。

3.どんな検査があるの?

胸部X線、CT、MRI検査(レントゲンなどによる画像診断)
気管支内視鏡検査(いわゆる「肺・気管支のカメラ」)
呼吸機能検査(肺活量などの検査)
喀痰検査(痰の中の細菌や異常な細胞を調べる検査)
動脈血ガス分析
酸素飽和度測定(体の中に酸素がどれくらいあるか調べる検査
呼気中一酸化窒素濃度測定 など

4.どんなときに受診すればいいの?

咳、痰、発熱があるとき】
 気管支炎、肺炎などの可能性があります。
 特に痰の色が黄色や緑色などのときは抗生物質の服用が必要です。

【咳が続くとき(痰はあまり出ない)】
 喘息、間質性肺炎などの可能性があります。
 三週間以上咳が続く場合は受診してください。

【血痰が出たとき】
 気管支拡張症、肺結核、肺癌などの可能性があります。
 痰の検査、胸部X線検査をまず行う必要があります。

【息切れがあるとき】
 労作時(特に上り坂など)に症状が強い場合は肺気腫など、深夜から早朝に出現する場合には喘息など、胸部圧迫感があるときは胸水などを疑います。

【持続する胸部痛があるとき】
 胸膜炎、肺癌などの可能性があります。
 ただし、前胸部(特に真ん中あたり)の急激なしめつけるような痛みは心臓が原因である場合が多いと思われます。

5.受診した方がいいのはどんな人?

 タバコをたくさん吸う人や粉塵(ほこり等)を吸い込む仕事の人は特に気をつける必要があると思います。症状がない人でも胸部X線の記録を(出来れば年1回の検診、少なくとも数年に1回)残しておくほうがよいと思われます。

6.診断

 高分解能CT、呼吸器内視鏡検査などで診断。診断に難渋する疾患においては、呼吸器外科での手術によって得られた組織から、確定診断を行います。
   呼吸器内視鏡検査は、肺癌や間質性肺炎、感染症、気道出血などの診療に有用で、超音波内視鏡など新たな手法を導入し、診断技術が向上しております。また気道狭窄、出血、気漏に対して内視鏡的治療を行っています。

7.肺癌

  肺癌の拠点病院として、呼吸器外科・呼吸器内科・放射線診断・放射線治療・病理 専門医、緩和ケア担当医、看護・薬剤師とのチーム医療を行い、全国のがん専門施設で行われている手術、放射線療法、全身化学療法(抗癌剤、分子標的治療薬)、緩和ケア治療などの集学的治療を実践しています。全身化学療法は、外来化学療法室において通院治療が可能です。
  患者さんや家族には、病気について現状や適切な診療について理解していただけるよう説明し、患者さんの考えを考慮した治療を心がけています。

 

呼吸器受診肺癌130例 
平成19年4月1日から平成21年12月31日




8.呼吸不全(気管支喘息、肺気腫、間質性肺炎、じん肺など)

   禁煙指導、吸入(ステロイド、気管支拡張、酸素)・内服治療導入を行っています。急性呼吸障害に対しては、人工呼吸器を用いた集中呼吸管理を行ない、同時に理学療法科、看護、栄養科とのチーム医療で、呼吸リハビリ、各種呼吸補助器、酸素吸入の指導、栄養管理など全身ケアを行い、速やかに在宅治療へ移行します。  
   死亡率が高い間質性肺炎急性増悪や急性肺損傷(ALI、ARDS)について、従来からおこなわれている呼吸管理、薬物(ステロイドホルモンや免疫抑制剤)治療に加え、現在、全国の一部の専門施設でも取り組まれている血液吸着(PMX-DHP)、血液浄化、血漿交換法など新たな治療法なども導入し、救命される患者さんが増加しています。

急性呼吸不全・急性肺損傷について

 PMX−DHP併用した症例の経過

間質性肺炎について

 慢性過敏性肺臓炎、非特異的間質性肺炎、NSIP症例に対して、確定診断・治療方針を立てるために、外科的肺生検施行。
 病理診断・臨床所見・専門施設とのディスカッションを経て患者さんの治療を行っています。
 急性憎悪時には、ICUでの呼吸管理下で、ステロイドホルモン、免疫抑制剤投与、エンドトキシン吸着療法(肺胞出血時には血漿交換)を行い救命しています。

平成19年4月1日から平成22年1月31日の間で行われた間質性肺炎
外科的肺生検例

9.呼吸器感染症

呼吸器学会肺炎ガイドラインに沿った標準治療により、外来・短期入院治療を実践しています。年々増加している肺炎球菌、レジオネラ菌などによる劇症肺炎は、年齢問わず致死的疾患ですが、院内で迅速尿中抗原検査可能であり早期診断治療行うことにより、救命例が増加しています。
難治性呼吸器感染症である急性膿胸や抗菌剤治療でよくならない慢性感染症については、呼吸器外科での手術を行います。

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