医師、看護師、技師、研修医の採用・募集を充実し、安全かつクオリティーの高い医療技術を尾道及び周辺地域住民の皆様に提供し、「心を動かす」医療を目指します

小中大

ホーム> 各科のご案内> 内科> 病気のはなし

各科のご案内

尾道市立市民病院から

がん診療

トピックス/広報誌

病院情報の公開

[ 内科 ]

ご覧になりたい項目を下記のタブから選択してください。情報やお知らせをご案内します。
sp

病気のはなし

尾道市立市民病院における、内科の病気のはなしをご紹介いたします。
(2018年4月現在)
1.パーキンソン病

1 パーキンソン病の疫学
 尾道市立市民病院内科では、神経難病のうち特にパーキンソン病の患者さんの治療に力を入れています。パーキンソン病の患者さんの数は日本では人口10万人当たり約100人と言われており、ここ尾道市においても100人前後の患者さんがおられ、約半数の患者さんが何らかの形で、尾道市立市民病院で治療を受けられています。

2 パーキンソン病とは
 パーキンソン病の症状は、手などが震える、筋肉が固くなる、動作が遅くなる、姿勢を保つことが困難になる、などの症状(4大症候)が現れ、便秘、トイレが近くなる、よだれが出る、などの生活関連症状、元気がでなくなる、幻視、幻覚などの精神症状なども現れることがあります。


3 パーキンソン病の治療
 パーキンソン病は、正しい治療を受ければ、症状が改善して、より良い生活を送ることができます。治療の基本は薬による治療です。当院では最新の薬を用いて、細心の注意を払って、患者さんの症状が少しでも良くなることを最優先に、治療を行っています。
 薬による治療に加えて、運動療法(リハビリテーション)を併用することで、より大きな治療効果が期待できます。つまり患者さんが自分に適した運動療法を行うことにより、身体の機能の維持や増強ができ、時には新しい運動能力を開発することも可能です。
 尾道市立市民病院では、理学療法士、作業療法士などがパーキンソン病のリハビリテーションに精通しており、患者さんの症状が改善することは請け合いです。

4 尾道パーキンソン病友の会講演会
 最後に尾道パーキンソン病友の会・パーキンソン病教室講演会のご案内をさせて頂きます。十数年来、毎年、年3回、4月、7月、11月の第2木曜日の午後、尾道市立市民病院新館四階講堂で、パーキンソン病について、分かりやすくお話をしております。
 家庭でできるリハビリテーションの指導や、保健婦さんや医師による難病相談など盛り沢山です。患者さんやご家族の方々は自分達だけで悩むことなく、尾道パーキンソン病友の会講演会に参加してみて下さい。より良い方法がきっと見つかります。

2.糖尿病

1 はじめに
 現在、日本では糖尿病患者数は、740万人と推定されています。40歳以上では、10人に1人の割合でみられるありふれた病気ですが、その多くの人は普通の生活を送っています。糖尿病であっても、正しい治療を続けていれば仕事をやめることも、仕事が制限されることも殆どありません。ただし、早期に発見し、正しい治療を続けることが大切です。結婚も子供生むことにも問題はありません。一病息災といわれるように、糖尿病で医療機関に定期的に受診することは、健康だと思って不注意な生活をしている人より、長寿を保つことができるでしょう。

2 糖尿病とは
 糖尿病はインスリンの作用不足によって代謝障害を起こす疾患です。インスリンは胃袋の後ろにある膵臓のランゲルハンス島で作られます。このインスリンの不足が起こると、血液中のブドウ糖が筋肉や脂肪の細胞の中に入って行かなくなります。つまりブドウ糖の利用が不足し、エネルギーの生産が低下するようになり、生体は生命維持のために、筋肉中のタンパク質や、脂肪組織中の脂肪を分解してエネルギーを獲得しようとします。その結果、アミノ酸、尿素、遊離脂肪酸、ケトン体が増え、同時に利用されない血液中のブドウ糖によって血糖値の上昇が起こります。このような状態が長く続くことによって、糖尿病に特有な合併症が発症し、さらに、ある程度以上に激しいインスリンの不足状態になると、非常に恐い糖尿病性昏睡が起こります。

3 糖尿病の症状
 ブドウ糖が血液中に増えて高血糖となりますと、糖が尿に出ていくようになり、程度が激しくなると、尿量が多くなって、喉が渇き、水分を多飲するようになります。さらに進行すると、体重の減少、倦怠感、視力障害、胃腸障害、脱水などのいろいろな症状が現れてきます。
 インスリンが極度に不足すると、大量のケトン体がつくられ、血液が酸性になって昏睡状態となり、適切な治療が行われないと、ついには命を落とすことになります。

4 糖尿病のタイプ
 糖尿病には、いろいろなタイプがあります。1型糖尿病は、かつて若年性糖尿病といわれていたこともあり、治療上インスリンが欠かせない糖尿病です。典型例は15歳以下の子供にみられることが重要ですが、いずれの年齢でも発症する可能性があります。一方、2型糖尿病は、かつて成人型糖尿病といわれていて、糖尿病の大部分はこのタイプです。治療にインスリンは必ずしも必要でありません。その他の糖尿病には、他の病気や妊娠に伴って起こるものがあります。 

5 糖尿病の診断
 糖尿病の症状がある場合の診断の決め手は、尿糖ではなく血糖検査で行われます。食事の有無に関わらず随時に測定した血糖値が 200mg/dl 以上、あるいは空腹時の血糖値が126mg/dl 以上であれば、糖尿病と診断されます。 症状がない場合の健康診断で、よく行われる検査が75gブドウ糖負荷試験です。空腹時血糖値が 126mg/dl 以上、あるいは2時間値が 200mg/dl 以上によって糖尿病の有無が判定されます。

6 糖尿病の合併症
 糖尿病は高血糖が年余に渉って長期に続くと、いろいろな合併症が出てきます。三大合併症といわれる神経障害、網膜症(図1)、腎障害のほかに、足の壊疽(図2)、脳卒中、心筋梗塞なども多発するようになります。また、バイ菌の感染にかかりやすく傷の治りにくいことも特徴です。

7 糖尿病の治療
 治療の目標は、正常の人と変わりのない生活を永く可能とすることです。糖尿病に打ち勝つためには、糖尿病の勉強をして患者さん自身が主体となって日常生活の中で管理を行うことです。糖尿病そのものは一生治らない病気ですが、適切な治療によって正常な状態近くにコントロールすることが可能であり、恐い合併症の発症をおさえることができて、健康な人と同じような一生送ることができるのです。
 治療には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあります。2型糖尿病は食事療法と運動療法が基本であり、これによって血糖が目標値にならない場合に薬物療法として内服薬やインスリンが使用されます。1型糖尿病では、インスリンを欠かすことができませんが、食事療法と運動療法も大切です。これらは、病院や保健所などで開かれている「糖尿病教室」や「食事指導」、「サマーキャンプ」を利用して大いに勉強して下さい。

 尾道市立市民病院では、月曜〜金曜まで午後2時より
「糖尿病教室」を行っています。参加して、糖尿病の自己管理を確実なものにして下さい。

8 糖尿病の予防と早期発見
1) 肥満予防のため食べ過ぎに注意しましょう。朝食抜きの食べ過ぎや夜食、間食、動物性脂肪や甘いものの取り過ぎ、酒の飲み過ぎなどの不健康な食生活をしないように心掛けることが大切です。
2)運動不足を解消しましょう。
運動は肥満の予防になり、ストレスの解消にもなります。
3)ストレスを貯めないようにしましょう。
心身のストレスは糖尿病の誘因になります。適度に休息をとり、趣味や運動を行ってストレスの解消をはかりましょう。
4)早期発見のため40歳を過ぎたら、年に1回は健康診断を受けましょう。
近親者に糖尿病の人がいたり、肥満、運動不足の人、ストレスの多い生活をしている人は、とくに注意してください。

※当院では糖尿病教室を実施しています。詳細はパンフレット又は内科主治医までお問い合わせください。

  
糖尿病教室パンフレット

3.高脂血症

1 高脂血症とは
 血液中には、コレステロール、リン脂質、中性脂肪、遊離脂肪酸という4つの脂質が蛋白質と結びついて"リポ蛋白"という粒子になって流れています。これらの脂質の1種類以上が異常に増加した状態を高脂血症といいます。これら4つの脂質はホルモンや細胞膜を作ったり、エネルギーとして利用されたりと、身体にとって重要な働きをしています。しかし、作られた脂質が消費量を上回り血液中の脂肪量が基準量をこえてしまうと、多すぎた脂肪は血液のなかにヘドロのようにたまっていくのです。

2 高脂血症の合併症
 高脂血症自体は、これといった自覚症状はありません。しかし、長期間、高脂血症を放置していると、動脈硬化を引き起こしてきます。動脈硬化は、身体中のどの血管にも起こります。心臓の血管に動脈硬化が起こると狭心症、心筋梗塞を、腎臓の血管に動脈硬化が起こると腎硬化症を、脳の血管に動脈硬化が起こると脳梗塞を生じます。

3 高脂血症の予防法
 40代、50代になってから取り返しのつかないような病気(動脈硬化)にならないように普段から暴飲、暴食を慎むこと、年に一回の健康診断を受けることを心掛けましょう。また、高脂血症と診断されても食事や運動などの日常生活を改善すれば、健康な血液を取り戻すことができます。
 高脂血症を予防するには、下記の食生活をお勧めします。
 1)動物性脂肪の多い食品を減らす。
 2)植物性油脂を使う。
 3)青魚を積極的に食べる。
 4)野菜をたっぷりとる。
 5)大豆製品を毎日食卓に。
 6)食事はゆっくりと。腹八分目に。

4.肝・胆・膵臓疾患

 肝臓部門では慢性肝炎の治療、肝硬変の合併症治療、肝悪性治療の診断と治療を外科、放射線科とも協力して行っています。胆・膵部門では、総胆管結石の内視鏡的治療、悪性疾患による閉塞性黄疸に対して内視鏡的ステント挿入、などに力を入れています。

1 診療内容(慢性肝疾患)
 ウイルス性慢性肝炎のうち適応症例には抗ウイルス療法(インターフェロン、抗ウイルス剤など)を行っています。また肝硬変症例には、合併症である腹水、脳症、消化管出血、栄養障害に対する治療を積極的に行っています。それによってできるだけ自宅でQOLの高い生活を送っていただけるよう努めています。

2 診療内容(肝悪性腫瘍)
 外来では腹部超音波、CT、MRIなどによるスクリーニングを定期的に行っています。治療は放射線科が血管造影検査を担当し、内科は、肝癌の局所療法として従来エタノール注入療法を行ってきましたが、2002年度より近い将来の保険適応に備えてラジオ波焼灼療法にも積極的に取り組んでおります。2002年1月から2003年8月まで約50例施行しています。

3 診療内容(胆・膵疾患)
 腹部超音波、CT、MRCPによるスクリーニング、超音波内視鏡やERCPなどによる精密検査を行い、胆膵悪性腫瘍の存在診断および進展度診断を行っています。手術不能例ではERBDなどの減黄術をはじめ、QOLを保つための主腫の対症療法を行っています。
 総胆管結石による胆管炎に対しては内視鏡的乳頭切開術(EST)及び拡張術で対応しています。
2002年度はESTは40例を施行しています。

5.消化器疾患

 消化管疾患では,上部消化管から下部消化管(食道から大腸)まで,内視鏡,超音波,消化管造影,CT, MRI等を使用して診断及び治療を行っております。
内視鏡検査・治療手技の発達によってポリープ,消化管出血など内科的に診断から治療まで完結させられることができます。
 当院では緊急内視鏡検査は、ほぼ24時間対処可能であり,ここ3年間の緊急内視鏡検査での止血術は年平均50例です。潰瘍性大腸炎を代表とする炎症性腸疾患に対しては,従来の治療に加えて新たに保険適応となった白血球除去療法も施行しております。また,難治性疾患や悪性腫瘍など消化器外科,放射線科と相談し全員で方針を決定し,協力し合いながら治療及び診療を行っております。

■食道静脈瘤治療について
 硬化療法(EIS)と静脈瘤結紮術(EVL)の2つの方法があります。

A. 硬化療法とは内視鏡でみながら静脈瘤に針を刺して,レントゲンで確認しながら硬化剤を注入し,静脈瘤を潰してしまう治療です。
B. 静脈瘤結紮術はゴムバンドを用い,静脈瘤を結んで潰す治療です。

 これらの治療はほぼ一週間毎に行われ,単独か両者を組み合わせて行います。

■内視鏡的止血術について
 吐血・下血などを主訴に来院された場合,緊急内視鏡検査を施行します。食道静脈瘤からの出血の場合は、上記のEVLを施行し止血をします。
出血性胃潰瘍及び十二指腸潰瘍で露出血管を伴っている場合には、以下の止血方法を選択して止血します。

A. エタノール局注療法
  局所に針を刺してエタノールを注入し血管を潰して止血する方法です。
B. クリッピング
  クリップで直接露出血管を把持・結紮して止血する方法です。
C. アルゴンレーザー焼灼術(APC)
  非接触性に高周波電流にて凝固止血する方法です。
  実際にはこれらの方法を単独,あるいは併用して止血を行います。

■ポリペクトミーについて
 ポリープを切断すること。内視鏡の進歩に伴い、各種のポリペクトミーが行われています。当院では高周波電流を用いて切断しています。
 平坦型に対しては粘膜切除(EMR)を施行します。EMRとは平坦な隆起生病変に対して生理的食塩水をその基部に注入して、病変全体を膨隆させて高周波スネアーで切除する方法です。

6.呼吸器疾患

1 肺気腫・慢性気管支炎などのCOPD(慢性閉塞性肺疾患)
2 気管支喘息
3 間質性肺炎
4 肺癌などの腫瘍
5 肺炎などの感染症

1 COPD→肺への空気の出入りが制限される病気

 COPDは、空気の通り道(気道)である気管支と、気管支から分岐した細気管支(細い気道)と、その先にある肺胞に炎症性の病変が生じる病気です。気管支の炎症や肺の弾性の低下によって、肺への空気の流れが慢性的に悪くなり、この気流閉塞のため、呼吸困難を起こす病気の総称です。

セキ・タン、息切れが主な症状
 セキやタンが出たり、階段の上り下りの際に息切れするなどの症状が慢性的に、あるいは繰り返して起こります。セキとタンは初期から、息切れは遅れて現れることが多い症状です。初期の段階で、呼吸機能検査を受けることが重要ですが、ありふれた症状であるため、見過ごされたり、風邪や喘息など他の疾患と間違われることが多いのが問題です。

治療はまず禁煙から
 喫煙者の場合には、「禁煙」が、 COPDの進行を停止させるための最も基本的で効果的な治療法です。COPD患者さんの呼吸機能の経年的減少率は、禁煙2年以内に非喫煙者の減少率とほぼ同じになります。

禁煙治療
 COPD患者さんにとって、禁煙は「治療」です。まずは禁煙の必要性をきちんと理解することからスタートします。ごく軽症のCOPDと診断された場合、禁煙以外に特別な治療をしない場合もありますが、軽く考えて喫煙を続けていると呼吸機能は確実に悪化します。タバコに対する依存性の強い人は、ニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法を使って、確実に禁煙することが必要です。禁煙治療の経験が豊かな医師の「禁煙外来」を受診するのもよいでしょう。

重症患者さんを対象とした在宅酸素療法
 呼吸機能の低下が進んで、普通に呼吸するだけでは十分な酸素を得ることができない場合(これを呼吸不全といいます)、酸素吸入療法を行います。1985年4月からは、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy: HOT)が保険適応となり、多くのCOPD患者さんが、家庭で使える酸素吸入器によって持続的に酸素吸入を行っています。

在宅酸素療法の効果
 持続的な酸素吸入療法は、COPD患者さんの生存率を高めることがわかっています。呼吸が十分にできない状態が長く続くと、肺へ血液を送っている右心室の負担が重くなり、心臓が肥大して働きが悪くなる「右心不全」が起こります。在宅酸素療法は、生命の危険につながる「右心不全」の進行を防ぐのに効果的とされています。

在宅酸素療法の最近の進歩
 高濃度の酸素を作り出せる酸素濃縮器が普及しています。携帯用ボンベを使えば外出もできます。また、酸素を鼻に送り込む鼻カニューラも、眼鏡タイプの目立たないものなどが開発されています。呼吸困難により非活動的だった人が、在宅酸素療法を行うことで行動範囲が拡がり、社会参加が可能になった例もあります。

2 気管支喘息→気管支が狭くなり呼吸が苦しくなる
 「気管支ぜんそく」は、気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。ぜんそく発作は、かぜなどの感染症にかかりやすい、季節の変わり目に起こることが多くなっています。というのも、ぜんそく発作は、かぜや肺炎などの感染症に伴って起こることが多いからです。気管支ぜんそくの患者さんは、30年間で約3倍に増えています。現在、成人に限ると、300万人もの患者さんがいると推定され、毎年5000〜6000人がぜんそく発作で亡くなっています。ぜんそく死は、特にお年寄りに多く見られ、かぜのようだと思っているうちに、夜中に突然発作が起きて死亡するというケースがよくあります。発作が起きやすい季節の変わり目には、特に病状の悪化に注意する必要があるといえます。

気管支ぜんそくが起こるメカニズム
 気管支ぜんそくの患者さんの気管支には、慢性的な炎症が見られます。この炎症によって、気管支が非常に過敏になっており、ちょっとした刺激が加わっただけで、過敏に反応したり、発作的に気管支が収縮しやすい状態になっているのです。気管支に炎症が起こっていたり、収縮が起こったりすると、気管支の内腔が狭くなりますが、発作が起きているときは、気管支の粘膜から粘液が大量に分泌されるため、内腔はさらに狭くなり息苦しくなります。気管支の炎症や収縮は、アレルギーが原因だと考えられます。アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)としては、「ダニ、花粉、カビ、ゴキブリのふん、ほこり、ペットの毛」などがあります。また、アスピリンなど酸性解熱薬という分類に入る薬はすべて、気管支ぜんそくの原因になります。ぜんそく症状で受診するときは、常用している薬を必ず医師に伝えるようにしましょう。

診断と治療
 医師は、まず問診などで「ぜんそく発作の頻度」や「ほかの病気の有無」を確かめた後、「ピークフローメーター」という測定器で、吐く息の最大量を測定し、症状の重さを調べます。吐く息の量が少なければ少ないほど、症状が重いことになります。

治療:ステロイド吸入が第一選択
 ステロイド薬を吸入し、慢性的に生じている気管支の炎症を抑えることが基本になります。発作が起きたときには、β2刺激薬などの「気管支拡張薬」や、「抗アレルギー薬」を用います。重症の場合は、気管支を広げる効果の強い「徐放性テオフィリン」という薬を服用することもあります。
 薬は、症状がないからといって勝手にやめたり、効かないからといって決められた以上に使うと、病気が悪化したり、副作用が現れたりすることがあります。必ず医師の指示どおりに用いるようにしましょう。 また、できるだけ発作を起こさないよう、日常生活で注意していくことも大切です。まず、原因となるアレルゲンをできるだけ身の回りから取り除く努力をしましょう。さらに、定期的にピークフローメーターで吐く力を測定し、常に自分の呼吸の状態を把握しておきましょう。そして、医師と常に連携を保ちながら、しっかりと自己管理を行い、病気を上手にコントロールしていくことが大切です。

3 間質性肺炎
 肺胞の周囲に線維化が起こり、ガス交換がうまくできなくなって息切れが起こる「間質性肺炎」。膠原病や薬剤が原因にないるもの、原因がはっきりしていないものなど、いくつかの種類があります。
 ウイルスや細菌などに感染して起こる一般的な肺炎が、肺胞の内側の「実質」に炎症が起こるのに対し、間質性肺炎は、実質の外側をうめるようにして存在する「間質」に炎症が起こります。間質に炎症が起きると、炎症によって障害を受けた部分を修復するために、間質にある「線維芽細胞」が増殖しますが、その修復の過程で線維化が起こり、次第に間質が厚くなると、肺胞が圧迫されて変形したり、数が減少します。その結果、肺全体が硬くなり、弾力が失われていきます。 最も特徴的な症状は、体を動かしたときの息切れと、たんが出ない空ぜきです。また、肺が硬くなると、呼吸が速く、浅くなります。そのほか、長い間、酸素不足の状態が続くと、手足の指が「ばち状指」と呼ばれる形状になったり、「チアノーゼ」が起こったりします。間質性肺炎の約半分は、原因が不明で、「特発性間質性肺炎」と呼ばれます。50〜60歳代の男性に比較的多く見られます。また、免疫の異常で起こると考えられている膠原病によって間質に炎症が起こる「膠原病肺」は膠原病になりやすい20〜50歳の女性に多く起こります。そのほか、原因がはっきりしているものとして、薬の副作用で起こる「薬剤性肺炎」、カビや動物の排泄物などに含まれるたんぱく質が原因で起こる「過敏性肺炎」、肺がんなどの治療で照射した放射線によって起こる「放射線肺炎」などがあります。

■検査と治療
 検査では、まず、「エックス線検査」が行われ、これで間質性肺炎が疑われるときは、「CT検査」が行われます。また、息を吐いて肺の機能を調べる「肺機能検査」で得られたデータは、ほかの病気との鑑別に役立ちます。最近では、間質性肺炎になると血液中に増える特殊なたんぱく質「KL-6」を調べる検査を行うこともあります。間質性肺炎の原因を調べるためには、「肺生検」が行われます。
 特発性間質性肺炎や膠原病肺によって、一度線維化した肺の間質は、元に戻らないので、治療は、症状が進行するのを抑えることを目的に行われます。
 特発性間質性肺炎で、比較的病状が安定しているときには、少量のステロイド薬と免疫抑制薬を組み合わせた治療を行います。ただ、かぜをひくなど体調を崩すと、病状が急激に悪化することがあるので、このようなときは、ステロイド薬を多めに使用して炎症を抑えます。一方、膠原病による間質性肺炎の治療は、ステロイド薬の使用が中心になります。また、病状が進行して呼吸不全が起こるようになると、呼吸困難を改善するために、家庭で酸素吸入を行う「在宅酸素療法」を行います。

■日常生活の注意
 間質性肺炎は、かぜなどの気道感染症がきっかけで、急に症状が悪化することがあるので、かぜをひいたり体調を崩さないようにすることが最も大切です。急に息切れが強くなったり呼吸困難に陥ったときは、すぐに医療機関を受診して、詳しい検査を受けるようにしてください。

4 肺癌
 現在、肺がんは胃がん、大腸がんを抜いて、最も多いがんです。肺がんは症状が出にくく、見つけにくいのですが、最近では、CTや内視鏡を使って発見できるようになっています。

■肺がんの種類と症状
 肺がんは、がんが発生した部位によって、「中心型」と「末梢型」に大別され、それぞれ症状の出方が異なります。
 「中心型肺がん」は、早期の段階からせき、痰、血痰などが現れます。「末梢型肺がん」は、早期の段階では自覚症状がほとんど現れず、かなり進行して初めて、せきや痰、血痰などが現れます。また、末梢型肺がんが転移して、転移先の臓器の症状がまず現れることもあります。
 このように、肺がんは、症状だけで早期に発見することは難しいため、症状がなくても、1年に1度は「肺がん検診」を受けることが重要です。

「検診を受けた方が良い人」
 1)喫煙指数(一日の本数×喫煙年数)が400以上
 2)50歳以上

■がんを発見するための検査
 肺がんを発見するための検査には、主に次の3つがあります。

「胸部エックス線検査」は、肺の奥のほうにできる末梢型肺がんの発見に有効です。しかし、がんのできる場所によっては、心臓や骨、血管などに隠されて発見できないことがあります。
「ヘリカルCT検査」は、普通の胸部エックス線撮影では写らない小さながんや、心臓や骨などの陰に隠れたがんも発見することができます。 
また、「喀痰細胞診検査」も行われています。画像検査ではわからないほどの小さながんも発見できます。

 以上の検査で肺がんの疑いがあった場合は、さらに詳しくがんの位置や大きさなどを調べるため、画像検査や内視鏡検査が行われます。
 画像検査には、「CT検査」や、「高分解能CT検査」などがあります また、中心型肺がんに対しては、「気管支鏡検査」が行われます。

7.甲状腺疾患

 人の体内には多くの種類のホルモン(女性ホルモン、男性ホルモン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン等)が分泌され、身体のためにそれぞれに働きをしています。
 甲状腺は首の前、のどぼとけのすぐ下にあり、重さが16〜20g、大きさは4cmの臓器です。甲状腺ホルモンという体にに必要不可欠なホルモンを造っています。甲状腺ホルモンは様々な作用を持っていますが、大まかに言えば全身の代謝のスピードをコントロールしているホルモンであるということができます。したがってホルモンが出すぎれば、脈が速くなり、体温も上昇し、汗をよくかくようになります。反対にホルモンが 足りなくなると脈が遅くなり、体温が低下し、活気がなくなってしまいます。

大きく分けて5つの異常があります。

1 良性腫瘍
2 悪性腫瘍
3 血液中の甲状腺ホルモンの増加(甲状腺機能亢進)
4 血液中の甲状腺ホルモンの減少(甲状腺機能低下)
5 甲状腺の感染症
   
※実際にはこの5つの異常が複雑に絡み合って様々な疾患が生じます。
 当院では、これらの疾患の診断と治療を行っております。 
 
甲状腺機能亢進症の症状自己チェック表
□ 暑がりである
□ 疲れやすい
□ 動悸がする
□ 息切れがする
□ 落ち着きが無くイライラすることが多い
□ 食欲はあるのに体重が減った
□ 手足がふるえる
□ のどが腫れている
□ 目つきがきつくなったり眼球が出てきた

甲状腺機能低下症に症状自己チェック表
□ なにをするのも億劫である
□ 皮膚が乾燥してカサカサする
□ 寒がりになった
□ むくみがある
□ 髪や眉が薄くなった
□ 声がかすれたり低い声で話すようになった
□ 便秘がちである
□ 物忘れが多くなった
□ 食欲がない
□ 体重が増加した

 チェック項目が3つを越える場合は、一度、検査を受けてみてはいかがでしょうか?
また、症状はなくても、前頸部が腫れていれば、検査をお勧めします。

8.腎臓疾患

1 腎臓とは
 腰のやや上、背中側にあり、握りこぶし大(120−150g)で左右に1つずつあります。それぞれに血管がつながっていて、たえずたくさんの血液が心臓から送り込まれています。腎臓のフィルター(ろ過装置)のような働きにより、その血液はきれいになり、再び送り出されて体内を巡っていきます。

2 腎臓のはたらき
 1)尿を作る。血液中の老廃物や、余分な水分、塩分を排泄する。
 2)赤血球の成熟をうながすホルモンをつくる。
 3)ビタミンDを活性化してカルシウムの吸収をよくする。
 4)血圧を調節する。

3 腎臓の病気
 腎臓の病気は腎炎と腎不全に大きく分けられます。腎炎が進行すると場合によっては腎不全となります。腎臓の働きが悪くなると、老廃物や余分な水分を身体の外へ排出できなくなり、食欲不振や体調不良の原因になります。また、貧血を起こしたり、骨がもろくなったりします。

1)腎不全
 腎臓の働きが、正常の30%以下の状態を「腎不全」といいます。
腎不全の原因はさまざまですが、徐々に進行して、不要な老廃物や水分、電解質などが体内に溜まっていきます。

2)急性腎不全
 いろいろな原因により、腎機能が急に低下した状態をいいます。通常は原因となった状態を治療すればもとに戻ります。

3)慢性腎不全
 徐々に腎機能が失われた状態です。末期腎不全になるまでの治療がとても大切です。


4)末期腎不全
 腎臓の働きが、正常の10%以下になった状態です。毒素および食物や細胞からの老廃物や、余分な水分が、血液中にどんどん溜まっていきます。これらの物質を取り除くことができないと高血圧、むくみ、吐き気や頭痛などが起き、疲労感や食欲不振、無気力などの影響が出てきます。したがって、透析や腎 移植の治療を受けることが必要になります。腎臓病は初期には自覚症状がほとんどないため、定期健診を受けることはとても大切です。たとえ腎臓病になっても、早期に発見できれば、適切な治療で病気の進行を遅らせることができます。

4 腎臓の検査
 1)尿検査;蛋白や赤血球が尿中に検出されます。
 2)腎生検;細い針で腎臓のごく一部を採取します。
 3)血液検査;クレアチニンや尿素窒素とよばれる成分が血液中に増えてきます。

5 腎臓病の治療  
 腎臓病の治療には「食事療法」「薬物療法」「日常生活のコントロール」などがあります。たんぱく質と塩分を控えめにすることが腎不全への進行を食い止めるのに大切な食事となります。また、高血圧をきちんとコントロールすることも大切です。腎炎はその種類により、薬が変わってきます。極端な疲労はさけて規則正しい生活をおくるように心がけてください。末期腎不全となった場合の主な治療法には血液透析、腹膜透析、腎移植の3つの方法があります。

現在、当院では腎炎から腎不全にいたるまでの検査、診断、治療を行っています。

9.関節リウマチ

 からだの多くの関節に炎症が起こり、関節がはれて痛む病気です。
長期間にわたって進行すると関節の変形と機能障害が起こります。人口の0.4〜0.5%、30歳以上の人口の1%にあたる人が罹患され、男性より女性に多く認められます(約3倍)。
どの年齢の人にも起こりますが、30歳代から50歳代で発病する人が多く認められます。「関節リウマチ」の治療の基本は“病気の進行を抑える”ことと、“痛みをとる”ことです。

「関節リウマチ」の“痛み”には

 (1) 炎症による痛み
 (2) 増殖した滑膜による痛み
 (3) 関節が破壊された痛み

があります。それぞれの痛みにあわせて、関節の炎症や免疫異常を抑える薬物療法、全身の機能を外科的処置により回復させる手術療法、全身の機能の維持をはかるためのリハビリテーションを用いた治療が行われますが、現在は、医学の進歩に伴い最近ではよい薬が増え、「関節リウマチ」の早期より積極的に薬物療法を行い、病気の進行を抑え、関節の変形をより少なくする事を目標として治療がなされています。また、最近は抗サイトカイン療法など治療体系も変わろうとしており、早期に治療を開始すれば、痛みや関節の変形と機能障害を最小限に抑えることができると考えられるため、早期での発見、診断が望まれます。

10.インスリンとは

「インスリン」は、すい臓で分泌されるホルモンです。

 すい臓は、胃の後にある細長い臓器で、長さ15cm、厚さは3cm、重さは70gほどで、インスリンのほかに、食べ物を消化するすい液も分泌しています。
 すい臓のランゲルハンス島といわれる細胞の集まり中のβ細胞からインスリンが分泌されます。

 インスリンは、三大栄養素のひとつであるブドウ糖を細胞が利用する際に、重要な役割を果たします。
 細胞膜の受容体にインスリンが結合すると、その細胞は、血液中のブドウ糖を取り込み、エネルギーとして利用したり、脂肪やグリコーゲンにして蓄えるのです。

 免疫異常やウイルス感染などで、このβ細胞が破壊されると、インスリンが分泌されなくなります。
 これが1型といわれる糖尿病で、食べ物を食べてもからだがブドウ糖を利用できず、血液中のブドウ糖がいくらでも高くなります。

 1921年にインスリンが発見されるまで、1型糖尿病は、発病すると急速にやせ細り、最後には昏睡になって死んでいくという恐ろしい病気でした。
 インスリンは、1921年カナダの整形外科医バンティングと医学生ベストにより、夏休み中の大学研究室でイヌのすい臓から抽出されました。

 インスリンの効果は絶大で、糖尿病の特効薬として瞬く間に世界中に広まりました。これにより、バンティングはノーベル賞を受賞しました。

 当初、インスリンはウシやブタのすい臓から抽出されていましたが、不純物が多いため、副作用がありました。
 そこで、純度の高いインスリンが作成され、次には作用時間を伸ばすための工夫がされました。
 さらに、1980年代に、遺伝子工学の応用により、ヒトインスリンの合成が実現し、現在ではインスリンといえば、ヒトインスリンが一般的です。

 2001年には、遺伝子組み換え技術を用いて、新たに超速攻型インスリンが登場しました。

 インスリン製剤のタイプは、作用発現時間や作用持続時間によるバリエーションが増え、病態や治療目的に合わせ、いろいろ選べるようになっています。

sp
sp
ページ先頭へ戻る