禁煙支援ハンドブック
尾道市立市民病院における、禁煙外来の禁煙支援ハンドブックをご紹介いたします。
(2009年6月現在)
タバコの正体 |
成功率 100%!
次の1本を吸わないこと
あなたは、自分の意思でタバコを吸っているのではありません。
「ニコチン依存症」です。
タバコ煙の正体
「タバコを吸うと4000種類の化学物質を吸い込むことになります。
■シアン化水素 : 別名青酸ガス、ナチスがアウシュビッツのガス室で使用した毒ガス
■アンモニア : 悪臭物質
■トルエン : シンナーの主成分⇒歯がガタガタ
■アルシン : シロアリやネズミ駆除に使用される砒素化合物
■ブタン : ライターの燃料
■ポロニウム : 原子番号84の元素.ウランの100億倍の放射能って信じられる?
■メタノール:別名メチルアルコール.ロケットの燃料にも使用され体重60kgの人なら25g飲むだけで死ねるかも.
■ナフタリン: 防虫剤
■一酸化炭素 : 不完全燃焼で生じる毒ガス
■ベンゾピレン : 強烈な発ガン性物質
ニコチンの正体
致死量50〜60?の猛毒。殺虫剤にも使用されます。
劇薬の青酸カリの致死量が200?程度であることを考えると強力な劇薬です。
タバコ1本あたり、20?のニコチンが含まれているとすれば、わずか3本で成人の致死量です。
ニコチン無限連鎖のしくみ
肺から吸収したニコチンは6秒で脳に達します。
ニコチンの血中濃度は、30分で半分になります。(だから、すぐ吸いたくなるのです)
半減期が30分であるということは、吸わなければ3日〜1週間で血中からニコチンは消失します。
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タバコの健康への影響について |

タバコの健康への影響
喫煙は肺がんだけでなく、全身のガンを増加させます。
喫煙は動脈硬化を促進し、心筋梗塞や閉塞性末梢動脈疾患、慢性呼吸器疾患、脳動脈硬化を引き起こします。
妊娠時は、本人だけでなく、周囲の喫煙によっても胎児の発育不良などを引き起こします。
禁煙すると喫煙の健康への影響は軽減します。
数値でみる健康障害
脳血管障害 : 特にくも膜下出血において、非喫煙者に対して男性喫煙者は、1.66倍、女性喫煙者は、2.20倍
胃腸障害 : 喫煙者の胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発率が非喫煙者の2倍
呼吸器疾患 : タバコを吸う本数が増加するほど、高年齢になるほど持続性の咳や痰など呼吸器症状が増加し、慢性閉塞性疾患の保有率が増加する。
がん発生率 : 扁平上皮肺がんはブリンクマン指数が600を超えると発症率が21倍以上、腺がん(肺)も非喫煙者の2.38倍と増加します。
タバコの関連疾患での死亡者数
年間11万3000人
がん 6万2000人 (うち肺がん4万2000人) -心血管疾患 2万1000人 -呼吸器疾患 2万人 -その他 1万人
喫煙の健康障害の3つの誤解
タバコを吸ってもなんともない人も大勢いるから自分も大丈夫 ⇒喫煙者の約半数は喫煙関連の疾患で死亡しています。
タバコを止めるストレスの方が禁煙よりもよほど悪い ⇒禁煙ストレスは一時的でトータルのストレスを考えると禁煙ストレスの方が少ないというのが正解です。
1日数本にすれば健康被害はない ⇒ニコチンは最初の1本で体の要求量のほとんどを吸収しますのでニコチンによる体への影響は1本でも現れます。 |
禁煙の効果 |

禁煙の効果について?
最終禁煙から20分で □血圧が正常化を始める □頻脈傾向が改善する □手足の皮膚温が上昇して正常化を始める
8時間で □血液中の酸素濃度が増加を始める
24時間で □心筋梗塞や狭心症の罹患率が減少し始める
48時間で □味覚と臭覚が回復し始める □神経細胞が再生を始める
72時間で □完全にニコチンが消える □気管支が広がって呼吸が楽だと感じる □肺機能が回復を始める
禁煙の効果について?
2週間〜3ヶ月で □循環が改善する □運動機能が改善する □肺機能が30%アップする
1か月〜9か月で □咳、痰、副鼻腔炎、息切れ等が改善する □肺や気管支の絨毛上皮が再生し、呼吸器感染が減少する □体のエネルギーレベルが上昇する
5年で □肺がんでの死亡率が喫煙者の半分になる。 (1日20本の喫煙の場合)
10年で □肺がんでの死亡率が喫煙者の10分の1に なる(1日20本の喫煙の場合) |
治療費について |
治療に係る費用
初診料(1回)+再診料(6回)
ニコチン依存症管理料(5回)
お薬代
(院外処方箋料)
総計 ; 61,440円
(自己負担 18,432円)
※毎日たばこ1箱吸えば年間12万円以上 |
