[ 健康トピックス ]
尾道市立市民病院では、尾道市民の皆様の健康増進を願い、定期的に“健康”に関するトピックスをWEBで公開しています。 →※が記されている医師は異動により、現在は当院に在籍しておりません。
PSA(前立腺特異抗原)による前立腺がん検診について
血液中のPSAを測定することにより,前立腺がんを発見する助けとすることができます。
しかし、この検査を受けることが検査を受けたすべての方の利益となるか否かについては、未だにはっきりした結論が出ていないのが現状です。
この検査を受けられる方は以下の事柄を知っておいてください。
1. PSA検査を受けることにより得られる利益
1) 前立腺がんが進行がんとなる前に(早期に)発見することができ ます。進行前立腺がんでは治療法が限定され、この病気により死亡する確率が高くなるので、早期発見と早期治療により将来の前立腺がんによる死を避けることができる可能性があります。
2. PSA検査を受けることにより被る不利益
1) PSAでがんが疑われた場合、診断を確定するためには前立腺の組織検査(生検)が必要です。これは発熱、直腸出血、血尿、血精液症などの合併症の可能性があり、身体に負担のある検査です。
2) たとえ生検を行ってもがんが見逃されることがあり、生検でがんが見つからなくても完全に安心はできません。
3) 生検で見つかったがんには、将来進行しない、つまり治療を必要としないがんが10%程度含まれます。したがって、結果として不必要な治療を受けることになる可能性があります(ただし、将来進行するか否かを正確に見分けることは現状では困難)。
4) PSA検査で陽性の結果が出ても60−70%はがんではなく、PSA検査はがんがなくても陽性となることが多い検査です。この場合、結果として不必要な精密検査を受けることになり、がんかも知れないという不必要な不安を持つことになります。
5) まれにPSAの上昇しない前立腺がんがあり、PSA検査を継続して受けてもがんが見逃されることがあります。
(出典:日本泌尿器科学会編 前立腺がん検診ガイドライン 2008年版)