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このトピックスは 『過活動膀胱について』 です。

尾道市立市民病院では、尾道市民の皆様の健康増進を願い、定期的に“健康”に関するトピックスをWEBで公開しています。  →が記されている医師は異動により、現在は当院に在籍しておりません。

 

過活動膀胱について

2007年3月更新 泌尿器科 大枝忠史医師|2008-12-10

過活動膀胱(Overactive Bladder, OAB):頻尿・尿失禁に対する新しい概念

■ 過活動膀胱とは?
おしっこが我慢しにくい、中に何回もトイレに起きる、トイレに走って行かないと漏れてしまう・・・など、おしっこが“出すぎて困る”ことで悩んでおられる方はいらっしゃいませんか?“年のせい”とあきらめてはいませんか?
このような症状を示す方々を“過活動膀胱”と呼び、積極的に治療をして行こうという考え方が、ここ数年のあいだに広く認められて来ました。
“過活動膀胱”とは、最近新しく国際的に認められた概念ですが、簡単に言えば、膀胱が過敏になって尿を我慢しにくくなっている状態、ということになります。しかし、新たに発見された新しい病気という意味ではなく、これまで多少混乱していた考え方を、わかりやすくまとめたようなものです。そして、診断をつけるためには主に自覚症状を参考とし、煩雑な専門的検査を省いてもよいということになったのです。

■ 過活動膀胱の症状は?
(1) 尿意切迫感(尿をしたくなる感じを急に強く感じ、我慢しにくい)が週に11回以上ある。
(2) 頻尿(尿の回数が多い):下記の?または?がある。
? 朝起きてから寝るまでに8回以上
? 夜床についてから朝起きるまでに1回以上
(3) 切迫性尿失禁(尿をしたくなると我慢できず、トイレに行くまでに漏れてしまう)がある。
これらのうち、(1)の尿意切迫感は必須の症状です。(2)の頻尿も伴うことが多く、(3)の切迫性尿失禁を伴うこともあります。つまり、排尿を我慢しにくく、回数が多かったり間に合わずに漏れることもある状態、ということになります。ただし、同じような症状を示す別の原因(感染、腫瘍、結石など)がある場合は除外しなくてはいけません。

■ 過活動膀胱の頻度は?
ある調査によれば、40歳以上の男女の12%が過活動膀胱と診断され、この割合だと、日本全国の患者数は実に800万人以上にのぼるとされています。非常に多くの方が同様の症状で困っておられることになります。世界的にも同じような傾向であり、欧米ではさらに頻度は高いといわれています。

■ 過活動膀胱の診断は?
主に自覚症状で診断しますので、簡単な問診を受けたり問診票に記入するだけである程度診断がつきます。しかし、上記のような感染・結石などを除外する必要がありますし、症状が似ていても原因は全く異なることもあり、注意が必要です(例えば、もともと尿が出にくくて残尿が多いために排尿回数が増える、など)。診断にはやはり専門的な知識が必要とされます。

■ 過活動膀胱の治療は?
主に抗コリン剤(膀胱の勝手な収縮を抑える薬)という飲み薬で行われ、最近になり新しい薬剤もいくつか発売されました。効果にはもちろん個人差がありますが、きちんと治療を受ければ、症状はかなり改善されるという期待が持てます。ただし、同じような症状でも全く別の治療が必要なこともあります。おしっこが近い、我慢しにくいという症状でお悩みの方は、一度専門医(泌尿器科)の診察を受けられることをお勧めいたします。

<参考> 過活動膀胱のスクリーニング問診票
以下のような症状がありますか?
  □ 尿をする回数が多い。
  □ 急に尿がしたくなって、我慢が難しいことがある。
  □ 我慢できずに尿を漏らすことがある。
これらの症状が1つ以上ある方は、過活動膀胱の可能性があります。


参考文献:過活動膀胱診療ガイドライン
(日本排尿機能学会 過活動膀胱ガイドライン作成委員会、2005年)

文責:尾道市立市民病院 2007年3月更新 泌尿器科 大枝忠史医師|2008-12-10
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