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このトピックスは 『高齢者の股関節周囲骨折の話』 です。

尾道市立市民病院では、尾道市民の皆様の健康増進を願い、定期的に“健康”に関するトピックスをWEBで公開しています。  →が記されている医師は異動により、現在は当院に在籍しておりません。

 

高齢者の股関節周囲骨折の話

2005年5月号掲載 整形外科 木浪 陽医師|2008-12-06

 人は、年齢を重ねるにつれて、次第に骨密度が減っていき、骨粗鬆症となります。70歳以上では、特に女性は高度の骨粗鬆症になり易く、転んで尻餅をついただけで、容易に股関節周囲を骨折してしまいます。主に大腿骨頚部と呼ばれる部位を骨折します。この部位を骨折すると、歩行できなくなり、寝たきりの原因の一つと言われています。骨折しないように予防することが第一ですが、もし骨折してしまった場合は寝たきり予防のために、手術をお勧めしています。

骨折の予防 
 骨密度維持・改善……栄養のバランスのとれた食事・適度な歩行・骨粗鬆症治療薬など
 転倒予防……筋力強化訓練・室内の環境整備・杖の使用など
 転倒時の衝撃緩和……大転子部保護クッション付パンツなど

骨折時の症状 
 通常骨折した側の股関節が外転外旋位(ガニマタ)になり、痛みで動かせなくなります。しかし、骨折部の転位が無い場合、痛くても歩けることがありますので、
 股関節を捻って痛みがあれば、骨折を疑ってください。

骨折の治療
 保存的治療 元来寝たきりに近い人、全身状態が手術に耐えられない人は、骨折部の痛みがなくなるまで、1〜2ヶ月ベッド上安静にしてもらいます。
 (通常そのまま寝たきりとなります。歩行できるようになることは稀です。)

手術的治療
 大腿骨頚部骨折は内側型と外側型に分かれそれぞれ手術の方法が異なります。
 
 外側型:ほとんどの場合、骨接合術が行われます。プレート固定や髄内釘固定で、手術直後からでも歩行訓練が可能な強固な固定ができます。
 内側型:多くの場合、骨頭や骨折部が血流不全に陥ると予測され(骨折部が転位している時など)、人工骨頭挿入術が行われます。人工骨頭は、術後1週間で歩行訓練が可能となります。骨折の転位が無い場合は、スクリューを用いた骨接合術が行われることがあります。この場合一定期間の加重制限を要し、将来再手術になることもあります。ただし、手術を受けても、リハビリがうまくいかなければ、歩けるようにはなりません。全身状態悪化やリハビリ意欲喪失が起こると、手術しても車椅子になってしまいます。手術とリハビリの両方がうまくいって初めて、成功といえます。
 まずは骨折の予防をしっかりして、もし転倒してしまって痛みがある場合はすみやかに整形外科医を受診してください。

文責:尾道市立市民病院 2005年5月号掲載 整形外科 木浪 陽医師|2008-12-06
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